twonaの日記

2007-11-15むなむなダーと王子様・7

フェイヨン〝暁″城


第一王子イズチの居室〝カキツバタの間″。

その中央にある円卓には堂々たる偉丈夫が座っていた。

第一王子のイズチ、フェイヨンを継ぐ事が約束されている人物、そしてケドゥら遺物遣いの精鋭を率いる主君である。

その地位は、本人の実力によってでは無く、単にフェイヨン王家が変化を嫌う体質から、第一王子を無条件に跡継ぎにする理由で得ている。

イヅチの評価としては、豪快な性格であるが好色であり、その方面では、幾人もの女性を泣かせているようだ。

そして政策面では個人の武力があるために戦術能力が高いが、それ以外の分野にはあまり目覚ましい能力は見られず、第一王子と言う立場を乱用していると言う事が良く言われている。


その前に立つのが、忍者軍を率いる現忍者マスターのナツメ。

豊満な肉体を忍者鎧に包んだ、緋色の髪に意志の強そうなウグイス色の瞳をした女性である。

才能は子供の時からあるが、弱冠20歳で忍者マスターに任じられるのは異例中の異例である。

その理由はまことしやかに城内で囁かれているが、噂の域を出ない。

「…して。紅の闇が何を狙ったのか、未だもって不明と」

「はい、残念ながら」

イヅチの指摘に目を伏せて答えるナツメ。

「対象は、第二十監視所の警戒ラインギリギリから侵入し、フェイヨン街区に入り込んだ模様です。その後、大聖堂付近に出現したのを確認し迎撃しました。ですが、対象は古代遺物の力を発動しこちらの中忍三人を殺害し、逃亡しました」

「大損害だな、死んだ奴等はどうなった?」

「既に大聖堂の協力を得て蘇生しております。一人が死の記憶の影響で精神的に錯乱していましたが、徐々に回復しております」

「狙いは〝盟約の姫″か?」

「はい。なんらかの理由で大聖堂に〝姫様″が立ち寄る事が漏れていたのだろうと推測できます。今回の侵入も〝姫様″狙いであったと考えるのが自然です」

「ふむ、やはり盟約狙いか。しかし、実在したとはな…盟約を満たす者がな」

先王に口伝として聞いたその内容を、思考の中で反芻しながらイヅチが言う。

「今まさに、我が国にはその力が必要なのです。この時点で姫様が現れたのは天啓です。なんらかの手段でこちらが盟約を満たす必要があるのでは無いでしょうか?」

「しかし、それはちと性急過ぎないか?」

「いえ、既にプロンテラ王家が古代遺物から新兵器を製造していると言う情報もあります。ここで盟約を完成させて、他国から優位に立つのは必要な事です。」

珍しく慎重論を唱えるイズチに、ナツメは口調を強めて盟約の必要性を主張する。

組織の若返りを図ったと言う事で、自分達若い世代が台頭したが、それだけに後方へ経験豊富な世代が下がってしまい、絶対的な忍者軍の戦力は激減していると言っていい。そんな中で、ナツメが組織の再編のために何らかの起死回生の策を必要としているのは無理は無い。

ただ、問題がそれが焦りからの間違った判断をしているかもしれない、と言う事を二人が検証しているかについて、疑問が全く無いわけでは無い所だろう。

また、元々武断に偏る傾向にあるイヅチは強引策に頼る事が多い。

それが国内のものであれば多少の無理は効くだろう、しかしそれが分かって居ないのか外交にもそれを適用しようとし、重臣達の諌言を受ける場面が多く、不興を買った有能な重臣が左遷されたりと急速にフェイヨン中枢の空洞化が進んでしまっている。

「ふむ」

イズチ様、ご決断を。盟約の内容から考えて、イズチ様が盟約を成就させるためにふさわしい方かと思います」

ナツメが一歩前に出る、そして潤む目でやや上目遣いにイズチを見上げる。

幾度となくやってきたナツメの相手を籠絡する視線だ。

「む…」

案の定、まんざらでは無い表情になり何かを思案する表情になるイズチ。

「…その姫様は確か器量がいいのであったな?」

「…はい、花のように可憐と聞き及んでおります」

いつもの悪い癖が出た、と内心で舌打ちするが、それをおくびに出さずに答える。

何故、私だけを見てくれないのか、分り切った問いだがそれを何度と問い掛けてしまう自分が悲しい。

「盟約の内容である〝フェイヨン王家当主とシルバーファング家王女との契りにより、オーディンスフィアへの扉が開かれり″…今の危急の事態こそ、かの力を拓くべきでしょう。イズチ様のおわす時代に姫様が現れたのがその何よりの理由のはず」

そして、自分は何故好きな男が離れるような誘導をしていまうのだろう。

「そうだな、しかし。無理矢理と言うのはどうかと思うが」

大きく頷くイズチ。紳士的な事を言っているが、その瞳に女を得ようとする時の光がちらつく。

「守護者はいるのか?」

「はい、フェイヨン大聖堂の司祭でトゥーナと言う者がついているようです」

白々しいイズチの自己弁護を聞いて、その先にあるやり取りが脳裏に浮かぶ。

「親しいのか?」

「はい、半年程一緒にいるのが分かっております」

「ふむ、いつまでも下賤な者に王族を預けるわけには行かないな…」

一旦言葉を切ってから、ニヤッと笑う。

「そうだな、王族と一緒に居てもいいのは王族だな」

ブツブツと呟いてから、顔を上げてナツメを見る。

「忍者軍に命ずる、盟約の姫を我が前に連れてくるのだ。〝保護″をせねばな」

その表情は、王者の風格をもつ堂々としたものだった。

たとえ、その内容が歪んだものであっても、その風格は臣下を平伏させるのに十分なものだった。

「はっ。して、守護者の方はいかが致しましょうか?」

「好きにしろ、よしんば我らの仕業であったと分かっても、たかが司祭一人どうにでも出来る」

「畏まりました。朗報をお待ちください」

そう言って、一礼してイズチの前を辞するナツメ。


「首尾はいかがでした?」

忍者屋敷に戻ったナツメに、副頭領のミカゲが声をかける。

この者も組織の若返りによって、一番隊の隊長から抜擢されたクチだ。

「盟約の姫様を〝保護″する。各隊はかねてからの準備にかかれ」

「はっ」一礼し、姿を消すミカゲ。

(盟約を完成させて、私達は老人達からの呪縛から解き放たれる)

そう、決意に満ちた視線を遠くに固定しナツメは、姫様を捕らえた後の事を考えたのだった。


フェイヨン王家の中枢の二人が、それぞれに身勝手な事を考え、それを実行に移している。

二人は、それが成功すると疑っても居ない。

だが、一つ忘れている事がある。

自分達が標的にしたのは、冒険者達であった事を。

AshleeAshlee2012/03/26 01:38Cool! That's a cevler way of looking at it!

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