twonaの日記

2007-09-27むなむなダーと王子様

「どうして、あんな嘘を言ったんだ?」

夜営地までの道すがら、シニャがユイに聞く。

「本当の事を言ってみたとしても、信用されないだろうし。下手するとこっちに疑念抱かれるしね。機械人形については、公式なレベルで知られてないのがネックよね」

「んー。そうかぁ…確かに知られて無いってのは厄介だな」

「どこかの、組織が、認定してくれればいい、のよ」

歌音が珍しく口を挟む、それだけに危機感を感じているのだろう。

「…そうだね」

相槌を打ってフィリオリは考えに沈む。

会話の途切れた奇妙沈黙の中、自分達の夜営地に着いた一同をノココンとしろかぜが迎える。

「いよう、どうだった?」

陽気なノココンの声がかけられる。

「酷かったですけど、助けられて良かったです」

その声に安らぎを覚えてエイナが言う。

「それは重畳」

古臭い言い方をするしろかぜに、笑い声が上がる。

「取りあえず、これを持ち帰ってノデンさんに押し付けちゃいましょう。それで、各ギルドへの働き掛けをどうするか決めましょ」

思索から意識を戻して、フィリオリが皆を見渡して言う。

「いいのか?全面的に奴等とやり合うかもしれないぜ?」

懸念の色を滲ませてロンが言う。

前面的な事になると、厄介な事になるかも知れない。

下手をすると消される可能性がある。

「敵が分かりやすくなった方がいいでしょ。今回みたいに戦った事が事実上無効化するって言うのは困るわ」

「それはそうだが…」

キモは、フェイヨン王家が持っている類似技術に関しては言及しないことね」

「どういう事?」ユイが聞いてくる。

「ここまでの経緯を考えると、プロンテラ大聖堂だけが技術の秘匿を行っているとは考えにくいでしょ。フェイヨン王家、モロク王家、ゲフェン魔術ギルドジュノー評議会…各国家の中枢が機械人形技術を持っていると考えていいでしょうね」

「…随分と突飛な推測じゃないか?」

「そう?国家存在するそれだけで秘密を抱え込むものよ。新旧にかかわらずね。この技術やこれに近い技術は、どこの国家にもあって、なんらかの理由があって表面に湧出させたんでしょうね」

「それに俺達は巻き込まれちまった訳か」

「そうね。口火を切ったのは師匠さんかも」

「だとしても、師匠も巻き込まれただけさ」

あの洞窟ライズの言っていた事を思い出す。

「そうかもね、そして話が戻るけど、多分フェイヨン王家が同じ技術を持っていた場合、それをも公式に否定した場合、抵抗は強いと思うわ」

「じゃあ、どうするんだ?放置するのか?」

「そうじゃ無いけど…。これは熟考した方がいいわね。対応を間違えると不味いから…ね」

「分かった、俺の守りが必要だったら言ってくれ」

しろかぜが言う。

「だな、知らずに関わっちまった事だが、カタは付けようぜ、な?」

ロンが仲間達を見渡して言う。

それに頷く仲間達を見ながらフィリオリは心の中だけに響く言葉を紡ぐ。

(でもね、そうは言っても、私の大切な人達を傷付けた貴方達はね。私が赦さない事は確定しているんだけどね?)

数多く居る大神官候補者としての特権を使い、フィリオリはロンからの話を聞いた後にプロンテラ大聖堂に赴き、いくつかの事を調べた。

その結果分かったのは、位階が高い者にしか開示されない記録上、トゥーナには〝聖堂への反逆者″の不名誉称号が与えられて居た。

聖職者登録抹消では無いが、大聖堂から警戒されていると言う事だ、それも最大レベルで。

これに関わるのは良くない、と言う事は十分に分かっている。

下手すると大神官候補では無くなるかもしれない。

…ふと、一つ何かが引っ掛かったがそれを言語化する前に思考から消える。

しかし、それに構わず

貴方達の都合の良い未来なんか見せないわよ)

フィリオリはそう、心の中で呟いて。

これからの事を考え始めたのだった。