twonaの日記

2007-07-16むなむなダーと熊・14

「む…?」

ふと、何かが脳裏にひらめく、重要な、忘れてはいけなかったが、忘れてはしまったと言う喪失感を想起させる何かだ。

だがそれは掴む前に朝霧のように薄れて消えて行く。

(トゥーナ!ボヤッとしないで!)

詠香から異常を知らせる叱咤を受け、消えゆく何かを言語化する前に、戦いへと意識が引き戻される。

(ムナムナダー変身シークエンス再起動完了!)

「ムナムナダーシステム展開!!」

カッと白い閃光が辺りに広がる。

その光の中で、ムナック帽の球のパーツが分解し、そこから細い透明な管が飛び出て延髄の神経節に絡み付く。

ゾクッという悪寒が走るが、これはどうしようも無い。

そして、セイントローブの各パーツが装甲化し、紅いムナックカラーに着色される。

蒼穹からの清廉な風がお札を巻き上げ、装甲仮面に覆われる寸前のトゥーナがフッと微笑む。

光が収まり、お札が元の位置に戻った時、そこには、装甲戦闘服に身を包んだ、良い子の正義の味方ムナムナダーが出現していた。

「さー!良い子の皆!楽しみにしていたかむな?今週のムナムナタイムだむなっ!」

ポーズを取り、どこか遠い所に向けて宣言する。

一陣の風が吹き抜けて行く。

「…」

当然の事ながら、何もリアクションが無い事に一瞬肩を落とす。


それを察したのか沢に隠れたマナが顔をヒョコッと出してパチパチと拍手をする。

そして、すぐに顔を引っ込める。

それに救われたかのように、勢い良く指をヨーンに突き付ける。

「はーはっはっ!ワシを応援する、良い子の声援が聞こえて来たむな!これでパワー満タンむなぁっ!」

ブンブンッと腕を振り回して、鷹が獲物を狙うようなポーズを取る。

「大量殺戮を好きなだけやっちゃっている熊よ!それも今日までむな!ワシが正義とは何かを教えてやるむなむな!」

今までとは違ったハイテンション精神状態になっている。

正義の味方である、ムナムナダーシステム精神昂揚作用だ。

「グルァァァッ!」

虚を突かれた様に、攻撃を仕掛けて来なかったヨーンが咆哮を上げて銃口を向けて来る。

「ムナダー…ハイパーバリア!」

詠唱を必要とせず、技の名前を叫ぶだけで、強力なキリエ触媒とする障が展開される。

キリエをゆうに超える六角形の黄金色の障が、数秒、ムナムナダーの周囲に展開し、唐突にかき消える。

ハイパーバリアを展開させたトゥーナはその場から身動きせずヨーンを見やる。


そして


「ふふん」

と鼻で笑う、そこに弾丸が殺到する。


がきぃぃぃんっ!


と、「がきんっ」が微妙な時間差で合唱したような連続音が響き渡る。

放たれた弾丸は全てハイパーキリエの障で防がれて居た。

力を失った弾丸が、バラバラと地面に落ちる。

無惨に変形した弾頭が、強力なにぶち当たり地面に転がる。

その様子が、ムナムナダーを倒す目的を果たせなかった事を示している。

「はーはっはっ!イミテーションの兵器でこのムナムナダーを倒そうなぞ、無駄の局地!!どうせなら、オリジナルを持ってくるむな!」

ビシィッと指を突き付け、高笑いをする。


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(おお…)

まだ見えぬ〝敵″を探しているケドゥも、索敵をスレイルに任せて、注意を対象の方へと向けてしまう。

それほどに注目せざるを得ない出来事だった。

ケドゥは、今までに何人かの古代兵器遣いを見て来たが、対象のように変身までするタイプは初めてだ。

ここまでの情報組織へもたらすだけでも、自分への組織の評価はかなりのものになるだろう。

(気になる戦闘力だが…予想以上だな。現代兵器を問題にしていない…オリジナル?何の事だ?)

戦闘の様子を伺うケドゥにスレイルからの緊急警報が入る。

電磁波の発生を確認!?十時方向、距離七十…)

位置は林の中だ。

多分〝敵″が何かの機械を使ったのだろう。

(…まず、奴を潰す)

ためらい無く、敵の方向へ移動を開始する。

レイルの指示通りの場所に近付き、目をこらすと、敵が木々の間から対象達を監視しているのが目に入る。

ケドゥは、その敵を視認した所で、体を茂みに隠蔽する。

この距離では、スレイルを使うより通常の戦闘索敵が有効だ。

(やはり、紅の闇の連中か…?)

見た所、敵地潜入用の変装はしていないようだ。

潜入用の変装は野外での行動の妨げになる場合もある。

(紅の闇、のようだな)

武装や行動の特徴から所属組織を割り出す。

十中八九、何回か交戦した経験のある王都騎士団の暗殺組織である紅の闇の構成員だ。

年齢、性別は不明。

(攻撃は、対象が機能停止してからだ…)

迂闊に仕掛けると対象の索敵に引っ掛かる可能性が高い。

それに、敵の動向も確認しておきたい。

見た所、記録を取っているようだ。

レイルが感知したのは、なんらかの記録機械が動作したのだろうか?

対象は?と、敵から視線を転じて見ると、両者の位置関係などから、戦局は変化したようだ。


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トゥーナの目の前で、弾丸が尽きてもなお砲身を向けているヨーンが居る。

(トゥーナ、敵は弾丸を装填中。熱反応増大…ブラスター来るわよ!ハイパーバリアでは減衰率は激減!)

砲身に付いた小さいパネルが紅い光を出している。

(あのパネルブラスターのジェネレーターになっているわよ)

「はーはっはっ!いいなぁ。必殺兵器とやらを使ってみるむな」

詠香の忠告を無視して、体を左半身にし、左手挑発するようにおいでおいでの仕草をする。

「ガアッ!」

ヨーンが咆哮し、高熱の塊が銃口から打ち出される。

ムナムナダーになり、強化された視覚に熱塊を弾頭にするブラスターが自分に接近するのを詠香の分析を絡めて見つめる。

馬鹿!避けなさい!)

詠香がグイグイと引っ張るような思念を伝えてくる。

が、頑としてその場から動こうとしていないムナムナダー。

そこに、ブラスターが直撃する。

熱の弾頭は、ハイパーバリアを一瞬で蒸発させたが、それでもハイパーバリアは効果を発揮して熱を周囲に拡散させた。

そして、ハイパーバリアを抜けても残った熱塊の残滓が、ムナムナダーを直撃する。

左肩の装甲が高熱で変形し、そこからダメージを受けた事による火花が散る。

しかし、ムナムナダーはぐらり、と構えを少し崩してよろめいた以外は何も無かったかのようにそこに立って居る。


「ふふふ、お前の必殺兵器はワシには効かないぞ?どうする?」

得意げなムナムナダーと裏腹に詠香の切迫した報告が入る。

(ふふふ、じゃないわよ!左肩装甲の防御効果ダウン!装甲形状の変形を現在抑止措置中!ハイパーバリア消失…各種センサーも熱でダウンよ!戦闘力は20%の減少。どーするのよ!?)

詠香の報告に、悲鳴の様な警報音が被さる。

「大丈夫さ。勝つよ」

熱で変形した肩装甲が火傷を負った自分の肉体を締め上げているので、ヒールをそこにかけて回復させてから答える。

(何が〝大丈夫″よ!どういう事だか説明―――)

「詠香、今の攻撃のデータを記録したむなか?」

なおも言い募る詠香を遮って言う。

(当たり前でしょ)

「なら良い。奴等の武器レベルがどうなのか記録しておいてくれ」

そして、再装填と再チャージを行っているヨーンにダッシュで間合いを詰める。

「ガアァッ!」

高い位置から振り降ろされる左の鉤爪を特殊ソードメイスで受け止める。

「ぐうっ!」

予想を上回る重さがかかり、軟らかい地面に足がめり込む。

(トゥーナ!)

「なにむな?」

(ヨーンの左腕も、武器化してるわ。駆動音を確認)

「なんだと?右腕だけじゃ無かったのかむな」

ふと、吉光が言っていた事を思い出す。


〝こっちはクレイモアが一本オシャカになったよ″


いくら、巨大な熊であっても、生身ではクレイモア破壊するまでの攻撃は出来ないだろう。

(駆動音を確認、だけど…どこの工廠のものかわからないわ)

「ガァッ」

「だっ!」

そう話して居る間に振るわれた腕を避けて斬撃を打ち込む。

「硬すぎむな」

刃こぼれをしたソードメイスを構えてボヤく。

(あの左腕が武器腕だった場合、現有武装では効果が低いわ。貴方の強化された筋力で切り付けても、武器が壊れるわよ)

「ケンジ達が苦労しただけはあるな」

(ムナムナソード、やってみる?)

前から詠香との打ち合わせで話していた必殺技の発動をするか?と聞いてきている。

「そうだな…。次の奴の射撃が終わったらやってみよう。隙が出来るはずだ」




説明しよう!ムナムナソードとは、ムナックを愛するムナムナダーの熱いパトスを宿らせた、世界一アツアツな刀の事だ!

ムナムナダーが〝これが刀だ″と思えば、伝説の刀だろうが、お玉だろうが発動するエコな技なのさ!




「エコ?」

(新しい物を作って環境負荷を上げるより、今ある物を使ったほーがいいでしょうが)

思わず突っ込んだムナムナダーに詠香が切り返す。

(ただ、エネルギーを凄い消費するから短時間しか使えないから注意ね。まだ、マニュアルを読んでいる最中だし)

「さいですか…」

ムナック帽に隠された機能の解析を、詠香が頑張っているのを知っているから、使い方くらい知っておいてくれ、とは言えないムナムナダーだった。

(発動タイミングは?)

「奴が斉射を終えたタイミングでいくむな。それまでは、普通に切り掛かるむなな」

詠香に、フェイント主体の連続攻撃を行った後に、ムナムナソードで勝負をかけるプランを思念で伝える。


≪続く!≫

TWONA「いつ終わるんだろう(*´・д・)(・д・`*)ネー 」

詠香「貴方が、エピソード増やしてるからでしょーが」

TWONA「既にショートショートSS)じゃないよ(*´・д・)(・д・`*)ネー 」

詠香「ラグフェスにでも出す?(笑)