twonaの日記

2007-05-03むなむなダーと熊・5

昼過ぎ、主に食料の買い込みを終え、ラムポとの待ち合わせ場所であるフェイヨン南門カプラサービスの前へとやって来る。

「おまたせ」

「や、師匠。」コルンに餌をやっていたラムポが手を上げて挨拶をする。

「こんにちわ~」

冒険用具各種を入れた背負い袋を背負っているマナ挨拶する。

「おや、マナさんも冒険者なのかい?」

意外そうに目を見開いてマナを見るラムポ。

「ああ、先程旅立ちの儀を済ませた。すまないが。同行させてくれないか?なるべく、迷惑はかけないようにする」

手のひらを合わせてお願いする。

「うん、師匠が面倒見るなら問題無いよ。それじゃ行こうか」

そうして三人は出発したのだった。


―夕刻・フェイヨン西方街道―


大地を照らしていた太陽が、西の山嶺に沈む。

三人は、カシワバラ平原を貫く西方街道へと足を踏み入れていた。トゥーナの速度増加スキルを繰り返しかけていたおかげで、一行の進行速度は予定より早いものになっている。

そして、一行の先には簡素な小屋が建っているのが見える。

高地にあり、寒暖の差が激しいフェイヨン領内を旅をしやすくするために建てられている無料開放されている小屋である。

時にも依るが、最低限の薪やかまど等が揃えてあるため、旅行者には重宝されている。

使った薪は、補充しておくのは冒険者の常識として定着していたりと、使用者の助け合いで維持されている。

もちろん、住居として使うのはご法度である。

通称《安らぎ小屋》管理している行政では味けも無い名前で呼ばれているだろうが、フェイヨン領内を旅する冒険者は通称を好んで使っている。


「そろそろ夜営の準備でもしよう」

小屋を指差しラムポ提案が提案する。

先にある小屋には灯が灯っており、先客がいるようだ。

(生命反応1よ、性別は男性シーフ系の武装)

詠香がすかさずサーチした情報を送って来る。

それに了解の思念を送り、軽くノックをして扉を開ける。

中からは閂はかけられて無かったのだろう、軽く軋む音を立てながら、すんなりと扉が開く。

「こんばんは」

小屋に入る習慣挨拶をして中に入る。

「こんばんは、司祭様」

中に居たシーフ挨拶を返して来る。

年は十代半ばだろう、駆け出しから脱皮しかけている雰囲気を発散している。

一言で言えば生意気。

「失礼していいかな?こちらは三人だが」

「ああ、いいですよ。俺っちも一人は寂しいと思っていたのです」

と、囲炉裏の奥へと移動するシーフ

「おや、珍しい組み合わせですね」

プリーストアルケミストノービスの組み合わせに目を見開く。

そして、一瞬目を細めて鋭い視線が三人を突き刺す。

が、それは本当に一瞬の事だったので誰も気が付いた者は居なかった。

マナ、荷物を置いていいよ」

疲労いっぱいと言った雰囲気のマナにトゥーナは声をかける。

「はあい」

言われるままに荷物を置いて、そのままの勢いで座り込んでしまう。

「つっかれたー」

「そりゃ、初めての旅だったしね。よく頑張ったよ」

ラムポが土間の隅にカートを置きながら優しく言う。

「ほら、マナ。寝るのはご飯を食べてからだよ。その前に準備をしないとな」

荷物入れの外にくくりつけていた薪の束をほどきながら、ぐてーとなっているマナに声をかける。

「えー」

「まぁまぁ、師匠。初日から、あまりハードにするのは良くないよ。私達で用意しよう、マナちゃんには、どうやって準備するのかを見てもらうって事で」やんわりと、突っ走り気味なトゥーナを諫めるラムポ。

(そうよ、姫様は野歩きは初めてなんだから!)

詠香も積極的に同調する、

「むう、わかったさ」二人に諫められて、休んでいるようにとマナに言い、トゥーナは夕食の準備を始める。

旅の食事なので、干し肉を火で炙ったものと、道中採った山菜を入れて雑炊となる。

「すまないね、騒がしくて」

火の加減を見ながらシーフに話し掛けるラムポ。

「いえ、俺っちは気にしてませんよ」

スティレットの手入れをしているシーフが答える。

「そう言えば、名前を言っていなかったね。私の名前はラムポ、見てのとおり、アルケミストをしている」

「ああ、これは失礼を。俺っちはケルンって言う冒険者です。よろしく…とそちらの司祭様は?」

「ああ、申し遅れた。ワシはトゥーナ、フェイヨン聖堂で世話になっている司祭だ」

足が痛い、と言っているマナの足をマッサージし時折ヒールをかけながらトゥーナは答える。

「この子はマナ、ワシが保護者をしている」

保護者ですか?何かあったのです?」

目を見開いて聞いてくるケルン

その驚きの半分は、マナの容貌に起因するだろう。

「ん、まあ色々あってな」

問いかけられた時のいつもどおりの対応で、お茶を濁すトゥーナ。

「そうですか…何やら大変そうですね」

その様子に何やら自分のストーリーマナの境遇を乗っけて感心している。

「そう言えば、ケルンさんはどちらに行くんです?」

「ああ、俺っちですか?ラッケンの村に行った帰りです。あんた達は?」

「ラッケンの村ですか…。実は私達はラミ渓谷まで行く所でしてね、何か気になる噂とかありませんか?」

ラミ渓谷の一番近い所にあるラッケンの村は、ハーブを採りに行く冒険者の補給と休憩の拠点として知られている。

「ん、今はなんか強い熊が出たとかで持ち切りだなぁ。見た事も無い変異種らしくて、腕利きのパーティーでもかなわなかったらしいし。犠牲者を生き返すために、フェイヨン聖堂に応援を頼もうとか行ってたなぁ」

そして意味ありげにラムポを見る。

「ふむ、聖堂に応援とは大事だなぁ。だがこちらでは、そんな話は聞いてないな。」

と、マナの回復を終えたトゥーナが答える。

「だねぇ。あ、ケルンさん。もし獣の革が余っていたら防具商人に持ち込むといいよ」

先程の視線を情報料を欲している事と解釈して、交換条件となる情報を会話に混ぜる。

「おっ、それは良い事を聞いた。ありがてぇ」

破顔するケルン、どうやら条件に合っていたらしい。

その後、夕食を食べたがら、マナの境遇について触れないように雑談をした後、見張りの番を立てて、トゥーナ達は眠りについたのだった。


―翌朝―


特に夜は何も無く、トゥーナ達は朝を迎えた。

昨日の炭を使い、火を起こして簡単な朝食を取り出発の準備をする。

「それでは、ケルンさん。ご武運を」

フェイヨンへと戻ると言ったケルンに、トゥーナは祝福の祈りを捧げる。

「ええ、司祭様達もお気をつけて!」

元気いっぱいに挨拶を返すケルン

そうして、彼等は別れたのだった。


「…」

トゥーナ達と別れたケルンは、草原を貫く街道を進んでいる。

だが、その表情や目付きは先程までの生意気な若いシーフのそれでは無くなっている。

視線の先に旅行者な道標にもなっている大きな岩を見つけ、ゆっくりと近付いて身を隠す。

ざわざわっとケルンの両脇に人の気配が持ち上がるが、ケルンは気にしない。

そこに隠れて居た人物が、敢えて出現したのだろう。

「ケドゥよ、首尾はどうだった?」

低く抑えた声が耳に届く、そのくせその位置は分らない。

「対象を確認した。あれは、我が主の口伝にあるアンチラグナロクの力を持つ姫様で違ない」

「ふむ…。その論拠は?」

「証拠に、俺のシステムが起動すらしなかった」

シーフの旅装の足のタイツまくり上げて見せる。

その右足は、機械人形のそれに近い金属が埋め込まれている。

「ふむ…感知されたのか?」

「いや、感知のシーリング完璧なはずだ。ただ、それを突き破って、アンチラグナロクが機能していたのが不思議な事例だな。アンチラグナロクの有効範囲は不明、未だに機能が回復せんよ。

俺の知らされていた情報がいくつか食い違っているのが不気味な所さ」と、ため息をつく。

「どうする?また追うか?」

「…お前では、面が割れてしまっているだろう?我らが行く」

「おいおい、さすがに¨マスター¨に次ぐあんた達が行く程では無いだろう?それにな¨紅の闇¨の連中の動きを見張る必要があるんじゃないのか?」

「…ふむ…」

考え込むような気配を見せた相槌がどこからか聞こえてくる。

「俺が思うに、あの¨失敗作¨を送り込んだのは、王都の連中じゃないかな」

「…ふむ」

「ふむふむと多いな…。面が割れていると言っても、覚えているだろう?俺には顔は関係無いってな」

「…ふむ。して、保護をしていた者はどうだった?」

アルケミストの方は純粋商人だな、情報通りだ。司祭の方は、聖堂に潜り込んでいる見習いアコライト情報だと、肉弾攻撃に特性のある司祭らしい。¨姫様¨とはどうやって知り合ったかは不明だ」

「…わかった、お前に任せよう。あの者達がこの一件をどう捌くかを見極めよ。だが、手出しは無用だ」

「了解した…ああ、行く前にこの獣の革を防具商人に売ってきてくれ」

「…ふむ…はぁ?」

どうやら¨ふむ…¨は口癖らしい。

「いや、今なら高く売れるらしい。どうせフェイヨンに戻るんだろ?」

「ふむ…それはそうだが…。任務はきちんと果たせよ」

「了解」

そう答えると、二つの気配は完全に消え去る。

「さてと」

ケルン改めケドゥは、それを確認してから姿を消す。

「よっと」

再び、姿を現した時には、そこには駆け出しのシーフではない、全身をフィールド迷彩に包んだ忍者が居た。

「…祖国フェイヨンのために…」

そう呟いた鋭い目付きは、闇に生きる者の暗さを持っていた。

その目をトゥーナ達が去って行った方向に固定する。

程なく、その姿も消え気配も消え去っていった。


≪続くむな!!≫

うんちうんち2007/09/10 22:44バカじゃないの? byアンチ